数字管理に対する勘違い

「感覚的な判断をするのはやめよう」「数字で客観的に分析しよう」今ではどこでも言われていることですが、それでも、過去多くの仕事をしていく中で、数字を管理し、その数字を本当の意味で”活用”している方は非常に少ないというのが現状だと思っています。

「必要だとはわかるんですが・・数字が苦手なんですよね」「頭に入ってこないんですよね」みなさんそう言われます。

確かに。わかります。

私も数字は得意ではありません。数学も苦手です。計算もよく間違えます。けれども、数字管理は別物で、これだけは楽しく続けています。

なぜ浸透しないことが多いのか。どうすれば数字管理を浸透させることができるのか。

高速PDCAをより正確に、効率を上げるために必要な「数字管理」について考えてみました。

目次

数字管理は「評価するため」?いえ、違います。

数字管理が浸透しない一番の理由は「評価されるのが嫌だ」「悪い数字が出るのが怖い」これらの意見が大多数であることが、大きな要因ではないでしょうか。

確かに。数字と言えば思い出すのは、学校のテスト。

80点以上だとほめられ、60点を切るとダメ。40点を切った日には「何してたの!」と怒られてしまいます。

私もよく40点以下を取った人間です。(自分がテスト勉強しなかったとわかってるからこそ)怒られるのが嫌な気持ちはよーくわかります。

勘違い1:数字の大小にとらわれる

よくある勘違いとしては、テストの点数のように「数字が大きいと良い」「数字が小さいと悪い」といった捉え方です。

確かにこの見方をするのであれば、そりゃぁ数字管理されるのは嫌です。

ではこの勘違い。どうすればよいでしょうか?

答えは数字の大小を見るのではなく、「数字の変化を見る」ことです。

例えば「先月の数字と比べてどう変わったか」「昨年同時期と比べてどう変わったか」。

そもそも数字管理において「大きな数字を取らないといけない」という無意識の前提が間違っているのです。

ですので、数字が大きいか・小さいかに捉われることなく、「数字の変化」に着目しましょう。

勘違い2:KPIの設定が間違っている

次によくある数字管理の勘違いは、KPIの設定(見るべき項目)が間違っている場合です。

わかりやすい例を挙げると、店舗運営における「売上」。

確かに売上は大切な数字ですが、店舗運営において売上はKPIにはなりません。

じゃぁ何がKPIなの??となりますよね。

答えは「売上を構成する要素」がKPIになります。

(実店舗の場合)売上=来客数×注文単価

(ECサイトの場合)売上=来客数×コンバージョン率×注文単価

もっと要素を分解できますよね。SNSに力を入れている店舗を例にとると

売上=来店数(SNSリーチ数SNSフォロワー数×来店率)×注文単価

このあたりの各【要素】の中で、自分たちで【コントロールできるもの】をKPIとして設定していくのです。

「SNSのリーチ数を▲%UP」とか「SNSのフォロワー数を▲%UP」とか「来店率を▲%UP」とか「注文単価を▲%UP」とか。

これらを把握できるレポートを作成することで、初めて、数字管理が意味を成してくるようになります。

勘違い3:KPIの「数字」に着目する

では、上記を例にKPIを下記のようなレポートが作成されたとしましょう。

スクロールできます
売上/月来店客数/月注文単価SNSリーチ数前月比SNSフォロワー数前月比来店率
2022年10月2,100,0005004,20010,0008000.24%
2022年11月2,600,0005724,54515,000+50%900+12%0.31%
レポート例

これを見て、「ふむふむ、KPIを見ないといけないから・・・」ということで、

「SNSリーチ数が+50%、いいじゃな~い」「SNSフォロワー数も+12%増えましたね!いいですね」「来店率も改善してるし、注文単価も上がってますね!いいですね!!」

これではいけません。

確かに、数字の「変化」に着目はしています。しかしまだまだ「数字」にしか着目していないのです。

変化を見ているので間違いではないのですが、もう一歩、踏み込んで確認してほしいのです。それこそが数字管理の本質です。

それは、「なぜ良くなったのか」の「なぜ」の部分を深掘ること。

「なぜ」の答えには2つしかありません。

1つは自分たちが「やったこと」。もうひとつは「外部要因」。

外部要因は自分たちの力でどうにもすることができませんので、最終的には1つ「やったこと」を深掘るといいんです。

  • どのアクションが要因か
  • どの部分が良かったのか
  • どんなインパクトが出たか(想定以上?想定以下?)
  • コストに対して必要な成果が出ているか(今後出る見込みがあるか)

こういったことを確認してみましょう。

結論。数字管理は「やったこと」を振り返るための補足情報

数字管理は「やったこと」すなわち「アクション」を振り返るための補足情報なんです。

数字管理の本質は「数字が変化」した部分を見つけて、その変化の要因を深堀りするためのキッカケでしかないということです。

上記の表の例で行くと、SNSリーチが+50%という大きな数字が出ていたところに着目し、『何をしたから+50%が生まれたのか』を深探るわけです。

それが、売上を上げる大きな要因だったのだと考えるのであれば、そのアクションをもう一度行ってみましょう。

翌月も同じようにプラスになるのであれば、それは再現性があるアクション(施策)であると結論づけることができ、その施策を社内のルーティン業務にしてしまえばいいだけです。

プラスを積み上げ、マイナスを排除する。自分の「アクション」を見返そう

右肩上がりを描くことを目標にするのであれば、こういった「効果のあるアクション(プラス要素)」を見つけて積み上げること。

単純にそれだけです。

もう一つ数字管理を活用してできることは、「効果の低いアクション(マイナス要素)」を見つけて取り除いていくこと。

世のあるあるですが、あふれる情報の中から様々なことに手を広げ、リソース不足に陥り、効果があった施策ですら低迷し、スタッフが疲弊し、辞めていくパターン。

これは、「不要なもの(優先順位の低いもの)を排除できない」のが原因。

数字管理をしていくことで、こういったマイナス要素のものを見つけ出し、「これは止めよう」ということを決断しやすくなってきます。

これが、数字管理の本質なんです。

この認識が共有できると、数字管理は楽しくなってきます。

だって、毎日の業務から無駄なものが省かれ、効果がある施策に集中できるようになるんですから。

+2%の施策を10個やって残業するぐらいなら、+10%の施策を2個やって、仕事を早く終わらせて、本を読んだり、好きな動画を観たりしたいと思いませんか(さすがにココまではうまくはいきませんが?理想です)。

最後に

今回は簡単にではありますが、「数字管理」の正体をお話してみました。

じゃぁやってやろう!となっていただけましたでしょうか?

ただ・・「さぁ実行するぞ!」となっても、やはり慣れないものは慣れないもの。すんなりと導入、スマートに運用、きっちり継続、となることはなかなか難しいのが現実です。

これに関しては、各人のスキル、社内体制などにもよって様々となりますので、個別にご相談いただければと思います。

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