BS経営学(21)万燈の企業哲学|PL経営から社会全体の“お金の流れ”を変える挑戦

PL(損益計算書)に縛られた経営から脱却し、BS(貸借対照表)とキャッシュフローを重視した“構造的な資産形成”へ。この視点転換は、単なる会社経営の効率化や節税テクニックではなく、社会全体に流れるお金の循環を変える本質的な挑戦です。
「税金で消えるお金を、未来に残る資産に変える」「労働で得る収入を、仕組みで増える収入へ」。万燈が実現しようとしているのは、こうした“お金の構造改革”を通じて、中小企業や個人がもっと自由に、もっと長期的な視点で経営・生き方をデザインできる社会です。この記事では、「なぜPL経営では限界があるのか」「なぜ社会全体の構造からお金を見直す必要があるのか」を、万燈の企業哲学として紐解いていきます。
万燈が考える「PL経営の限界」と社会的インパクト
経営者が疲弊するPL構造の社会的背景
PL(損益計算書)中心の短期的な利益重視型経営──売上を拡大することに注力するあまり、資産形成や税・キャッシュの設計が後回しになる。こうした経営文化は、「税制度」「経営慣習」「教育機会」の3つの構造的要因があります。
納税基準がPLベースであること、月次決算やBS活用が普及していない慣習、そして経営者教育の空白──こうした積み重ねが、短期利益ばかりを追う思考を生み、「残らない経営」を常態化させてきました。
「稼いでもお金が残らない」会社が多数派という現実
実際、多くの中小企業が、利益が出ていても現金が残らないという矛盾に直面しています。これは経営判断の問題ではなく、構造的に「残らないようになっている」仕組みの中で経営しているということです。
これは、個々の企業の問題だけに留まらず、社会全体の経済循環の“滞り”にもつながります。
経済が回っていないのではなく、「滞っている」構造
お金は社会の血流です。しかし、その流れは今、個人や企業の中で詰まり、うまく再循環していません。税や保険料として引き上げられたお金が、再び民間に戻る仕組みが整っていない以上、経済は“回らない”のではなく“滞る”のです。
企業・個人・社会に流れる“お金の構造”を変えるとは
「税金で減る」から「資産に変える」へ
「利益が出たら税金を払う」これは当然のルールです。しかし、適切な資産計画と投資スキームがあれば、その利益を未来に残る資産へと変えることができます。節税という言葉ではなく、「お金を残す設計」の考え方が求められています。
「労働依存」から「資産構築型」への転換
一人で働き、一人で稼ぐモデルでは限界があります。そこで重要になるのが、労働以外の収入源。すなわち、資産が生み出す収益構造の構築です。可動産投資や法人スキームは、その代表的な手段です。
「節税」ではなく「設計された循環」へ
私たちが重視しているのは、税金を抑えることそのものではなく、「お金の循環を自社・地域・社会にとって有益なものに変えていく」という構造的アプローチです。そのためには、短期的な節税テクニックよりも、中長期で仕組みをつくる姿勢が欠かせません。
万燈の使命|中小企業から社会の構造を変えていく
PL経営→BS経営へ、「一人の社長」から始まる変化
大きな変化は、大企業から始まるものではありません。一人の社長の、小さな視点の転換から始まります。PLではなく、BS(貸借対照表)とキャッシュフローを見て、「資産を育てる経営」にシフトすること。それが企業の自由度を高め、結果として社会全体の選択肢を広げる力になります。
可動産モールと「地に足のついた再投資」の循環
万燈では、単体の可動産投資だけでなく、それらを集合的に配置する「可動産モール」の仕組みも展開しています。これは、収益を生む事業地として機能するだけでなく、地域との共生を前提とした再投資モデルです。資産が地域で生き、回る設計です。
地域の人・資産・事業をつなぐ「社会の設計士」へ
私たちが目指すのは、単なる投資家ではなく、地域の資源と資金をつなぐ“社会の設計士”です。中小企業経営を通じて、社会全体の構造に対してレバレッジをかけていく。この考え方を共有する仲間を増やすことが、万燈の使命です。
私たちが“投資”という言葉に込めるもの
「利回り」だけでなく「信頼・再現性・共創」
数字としての収益率だけでなく、「誰と取り組むか」「どの地域と連携するか」という文脈が、私たちにとっての“投資価値”です。共に成長できる構造を持つことが、持続可能な資産形成の前提です。
一過性ではない、10年後も機能する仕組み
一時的な節税ではなく、10年後・20年後も続く事業モデルこそが、次世代に残すべき資産です。万燈では、金融的な視点と地域的な視点を融合させた「持続性のある循環構造」の設計を行っています。
「三方よし」に共感する仲間とともに創る未来
自社よし、相手よし、社会よし。
この「三方よし」を軸に、可動産という新しい事業モデルを全国に広げています。利益の最大化ではなく、共に価値をつくるという思想が、長期的に続くエコシステムの核になると信じています。
次回予告|新しい働き方と起業支援|モール型ビジネスが創る“第二の経済圏”
次回は、初期コストが低く挑戦しやすい“可動産モール”の仕組みを通じて、個人の働き方と地域の経済循環を支援する新しいビジネスモデルをご紹介します。副業・フリーランス支援、起業リスクの低減、運営サポートまでを含んだ『第二の経済圏』としての可能性を、具体的な活用事例を交えて解説していきます。