BS経営学(4)PL経営の限界を可視化する3つのサインとその根本原因

「利益が出ているのに資金繰りに追われる」「借入が難しく投資もできない」「社長がプレイヤーとして走り続けている」。これらは、PL(損益計算書)だけに依存した経営、すなわち”PL経営”がもたらす限界の現れです。本記事では、PL経営が抱える構造的な問題を3つのサインで可視化し、その根本原因と次に目指すべき視点の転換について解説します。
PL経営の“限界”とは何か?
「利益はあるのに資金繰りに追われる」構造的な矛盾
PL上では黒字にもかかわらず、実際には現金が足りない──そんな状況は少なくありません。これは、PLが税金・借入返済・仕入れ・売掛金などの資金の動きを捉えていないためです。「利益がある=お金が残る」という思い込みは、経営判断を誤らせる原因となります。
なぜ税理士任せでは根本解決にならないのか
多くの中小企業では、経営者が数字の把握を税理士に依存しています。しかし、税理士の主な役割は”過去の数字の整理”。将来のキャッシュ設計や資産形成に関わる視点は不足しがちです。経営者自身が数字の構造を理解し、戦略的な判断を下すことが求められます。
経営者の“頑張り”だけでは乗り越えられない壁
現場に立ち続ける社長の頑張りに頼る経営は、スケーラブルではありません。分業や仕組み化がなされていない状態では、いずれ限界が訪れ、持続的な成長が難しくなります。
限界サイン①|利益が出ているのにキャッシュが残らない
典型的なPL思考:「利益=お金が残る」と思い込んでいる
損益と資金のズレを理解していないと、「利益が出たのに資金が足りない」という事態に混乱します。これはPLとキャッシュフロー(CF)の違いを把握していないことに起因します。
お金が出ていく5つの要因とは(税・返済・仕入・売掛・投資)
資金を圧迫する代表的な要因は、税金、借入金返済、仕入れ費用、売掛金の入金遅延、そして将来のための設備投資です。これらの視点を持たずにPLのみで経営判断を行うと、資金ショートのリスクが高まります。
限界サイン②|投資できない・借りられない
PL経営が信用力を弱める理由
節税を重視するあまり、帳簿上の利益を抑える経営を続けると、自己資本比率が低く見え、金融機関からの信用も得づらくなります。その結果、必要なタイミングでの資金調達が難しくなり、成長機会を逸することに繋がります。
未来のための“攻めの一手”が打てない状況とは
融資が受けられない、自己資金もない──その結果、チャンスを前にしても動けない。これは資産が形成されていないPL経営の限界です。資金の出入りだけでなく、資本構成や将来の投資余力までを見据えた経営が必要です。
限界サイン③|社長がいつまでも“プレイヤー”をやっている
労働集約型経営と「社長が走り続ける」構造
社長が営業・実務のすべてを担っている経営は、会社の拡大余地を狭めます。人的リソースやノウハウが属人化し、スケールも継続も困難になります。
「仕組み」と「資産」がない会社の未来
PL経営は“稼ぐ”ことに偏り、“守る・増やす”仕組みがありません。結果として、将来に向けた資産形成や経営基盤の強化が進まず、疲弊型経営に陥るリスクが高まります。
PL経営の限界を突破する鍵は“視点の転換”にある
「お金の動き」ではなく「構造の歪み」を見極める
「どこでお金が足りなくなったか」ではなく、「なぜそうなったか」という構造の歪みに目を向けることが、根本的な経営課題の発見につながります。視点を”結果”から”構造”に移すことが突破口になります。
BS経営という“次の地平”を知る
BS(貸借対照表)を読み解くことで、資産・負債・純資産のバランスが見えてきます。PLでは捉えきれない未来志向の経営判断を可能にするのが、BS経営の強みです。
次回予告|「万燈が描く理想の経営」とは?
次回は、万燈が提唱する「仕組みでお金が残る経営」=BS経営の全体像について紹介します。中小企業がなぜBS視点を持つべきか、その背景と効果に迫ります。
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