BS経営学(13)BS経営移行の3ステップ|準備・実行・継続のロードマップ解説

「利益は出ているのに、なぜかお金が残らない」——この悩みは、PL経営に依存している中小企業で特に顕著です。経営数字は黒字でも、通帳には現金がない。その原因は、売上や利益という“表面の数字”だけを見て経営判断をしてしまっているからです。今求められているのは、「現金が残る」「将来に耐えられる」「戦略的に投資できる」財務設計=BS(貸借対照表)を軸とした経営です。
この記事では、PL経営からBS経営へと転換していくための3つのステップを、実務ベースで解説します。

目次

なぜ「BS経営への移行」が必要なのか?

PL偏重による資金不足と投資機会の損失

売上や利益の数値ばかりに注目していると、「利益はあるのにお金が足りない」という矛盾に直面します。
このようなPL(損益計算書)偏重の経営では、資金繰りに追われ、戦略的な投資のチャンスを逃すリスクが高まります。

「社長が走り続ける経営」の限界

現場の売上を社長自身が作り続けなければ回らない経営体制は、持続性に欠けます。
経営者がプレイヤーのままでいる限り、会社は“仕組み”で動かず、スケールや事業承継も困難になります。
これはPL経営にありがちな特徴であり、BS経営へ移行すべきサインとも言えます。

「キャッシュが残る構造」へ変える必要性

経営の目的は、売上や利益ではなく「お金を残すこと」です。なぜなら、どれだけ利益を出していても、現金がなければ投資も返済もできず、会社は止まってしまうからです。
キャッシュフローや貸借対照表(BS)を軸にした財務設計によって、安定した成長と戦略的判断が可能になる体質へと転換していく必要があります。

ステップ1|準備フェーズ:現状把握と思考転換

BS・PL・CFの「見える化」で経営状態を数値で理解

まずは、損益(PL)、貸借(BS)、キャッシュフロー(CF)という3つの財務諸表を見える化し、会社の“現在地”を正確に把握することが出発点です。
キャッシュ残高、借入、在庫、売掛金などのバランスを整理し、感覚ではなく「数字で語れる経営者」になることが重要です。

「PL脳」から「BS脳」へのマインドシフト

「売上が上がったか」「利益が出たか」ではなく、「どれだけ資産が増えたか」「キャッシュは残ったか」へと視点を変える。
この“PL脳”から“BS脳”への意識変化が、BS経営の第一歩となります。

「なぜお金が残らないのか」を言語化できるようにする

「なぜ利益があるのにお金が足りないのか?」を明確な数値と構造で説明できるようになることが、次のアクションへの土台になります。
この“気づき”こそが、経営構造を変える原動力です。

ステップ2|実行フェーズ:キャッシュ戦略と投資判断

借入=レバレッジとして活用する思考へ

借入は“返済義務”であると同時に、“成長のための資金調達手段”でもあります。
経営者は、「借金は悪」ではなく「レバレッジである」と捉え、資金効率を高める発想へ転換することが求められます。

利益よりも「純資産」を積み上げる投資判断へ

PL上の利益だけでなく、貸借対照表に積み上がる“純資産”の増加をゴールとする投資判断へシフトします。
たとえば、可動産や不動産など、価値が残る資産への投資は、資産拡大と同時に信用力も向上させます。

「PLで稼いで、BSで増やす」二段構えの戦略

BS経営の本質は、PLで現金を生み出し、BSでそれを蓄積・再投資していくサイクルの構築にあります。
“売って終わり”ではなく、“残して育てる”設計を持つことで、会社は持続可能な成長軌道に入ります。


ステップ3|継続フェーズ:「稼ぐ・守る・増やす」の永久ループ

高収益事業で「稼ぎ」、CF戦略で「守り」、再投資で「増やす」

まずは利益率の高い事業に集中し、利益とキャッシュを「稼ぐ」。次に、税設計で「守る」。
そして、設備投資や資産購入、人材採用に再投資することで「増やす」。
この三位一体のループを構築することが継続のカギです。

「資産が資産を生む」ループ構造の構築

たとえば、借入で取得した可動産が収益を生み、それが次の投資原資になる。
「資産が資産を連れてくる構造」ができると、会社は社長の労働に頼らず、仕組みで成長できる体制になります。

外部CFOや財務パートナーとの連携による継続支援

BS経営を定着させるには、社内に財務の専門人材を置くか、外部CFOを活用するのが効果的です。税理士とは異なる“戦略財務”の視点を取り入れることで、経営判断の質が大きく変わります。


次回予告|PL経営とBS経営の違いを比較表で一発理解!

今回の3ステップを踏まえたうえで、PLとBSの違いをより直感的に理解したい方は、次回記事をぜひご覧ください。「なぜBS経営が“キャッシュを残せる”のか」を視覚的に整理していきます。

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この記事を書いた人

株式会社万燈です。

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