BS経営学(3)あなたの会社も陥っている?PL脳セルフ診断チェックリスト

「売上と利益は出ているのに、なぜ資金が増えないのか?」。多くの中小企業経営者が抱えるこの疑問には、思考のクセが関係しています。それが「PL脳」と呼ばれる、損益計算書(PL)だけを見て判断する経営スタイルです。本記事では、PL脳の正体とそのリスクを明らかにし、自社の状態を可視化できるセルフチェックリスト、さらにPL脳のタイプ別傾向と改善の第一歩を紹介します。
そもそも「PL脳」とは何か?
PL脳=“売上と利益”だけで経営判断している状態
「利益が出ていれば大丈夫」「税理士に任せておけば安心」と思っていませんか?PL脳とは、PL(損益計算書)の数字だけを基に経営判断を下す思考のことです。お金の流れや資産・負債といったバランスシート(BS)への理解が浅く、結果としてキャッシュが残らない経営に陥りやすくなります。
中小企業の9割以上がこの思考に陥っているという事実
PL偏重の経営は、実際には多くの中小企業に共通する現象です。財務情報を「過去の成績表」と捉え、未来を設計する材料として活かせていないケースが圧倒的に多く存在します。
PL脳が引き起こす代表的な経営課題
- 黒字なのにお金が残らない
- 節税に偏り、成長への投資ができない
- 社長が常に現場に張り付き、仕組みが育たない
これらの課題は、いずれもPL脳による“構造の見落とし”が原因となっています。
PL脳セルフチェックリスト【簡易版】|10の質問
チェック項目1〜5:日々の経営判断
- 毎月のPLは確認するが、BSは見ない/見てもわからない
- 数字はすべて税理士任せで、自社の財務構造に詳しくない
- 資金繰りは「なんとかなる」で済ませている
- 設備投資の判断が「勘と勢い」になっている
- 利益が出るとすぐに節税を考える
チェック項目6〜10:数字の見方と将来設計
- キャッシュが残らない理由を明確に説明できない
- 借入金の金利や返済負担をきちんと分析していない
- 売上計画はあるがキャッシュフロー計画は立てていない
- 人員配置や採用の基準が曖昧で感覚的
- 中長期(3年後など)の財務目標を立てていない
チェック結果の解釈方法
- 0〜3個:PL脳の傾向は低め。ただし慢心は禁物。
- 4〜6個:PL脳の兆候あり。経営判断に見落としがある可能性。
- 7個以上:PL脳が強く出ている状態。早急な見直しが必要です。
あなたはどのタイプ?PL脳の3分類
①直感型PL経営者:感覚で判断、数字は後回し
数字より「肌感覚」で意思決定しがちなタイプ。現場感覚は鋭い一方で、財務的な裏付けが弱く、ブレやすい経営に陥る傾向があります。
②節税至上主義型:お金を守ることに必死
節税に意識が集中し、利益を削ってまで税負担を減らそうとするタイプ。結果として手元にお金が残らず、成長投資のチャンスを逃すことも。
③自分頼り型プレイヤー社長:現場に出続けることが成長と信じる
「社長が一番動ける」という信念から、あらゆる実務を自分で抱えるタイプ。組織化や仕組み化が進まず、社長の疲弊が経営リスクになります。
PL脳から脱却するための第一歩
自社の現状を“構造”として理解する
経営の課題は感覚や経験則ではなく、構造から見直す必要があります。PL・BS・CFといった財務三表を活用し、「なぜキャッシュが残らないのか?」を仕組みとして理解することが第一歩です。
経営スタイルを「PL視点」から「BS視点」へ転換する
単年度の利益ではなく、「どんな資産を持ち、どうキャッシュを生むか」というBSとキャッシュフロー(CF)の視点に経営をシフトすることで、構造的にお金が残る体制が整っていきます。
次回予告|PL経営の限界を示す“3つのサイン”と、その根本原因
PL脳を脱却したいと思った方へ。次回は、PL偏重の経営が実際に招く“限界サイン”を3つの視点から解説し、どうすれば抜け出せるのかを紹介します。
まずは「現状把握」から始めましょう
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