BS経営学(11)税理士に任せて安心…では危険?“経理はいる、でも財務がいない”という事実

「税理士に任せているから大丈夫」──。そう思っていませんか?
実はその思い込みが、財務戦略不在のリスクを生み出しているかもしれません。多くの中小企業では、「経理はいるけど財務はいない」という構造的な欠落が存在します。
本記事では、税理士と財務の違いを明らかにしながら、PLだけに頼る経営がどのように資金繰りのリスクを招くのかを解説。そして、これからの時代に求められる「未来を設計する財務」の視点と、それを実現する“外部CFO”という新たな選択肢についてお伝えします。
多くの経営者が“勘違い”している「税理士がいれば大丈夫」という落とし穴
「税理士=財務責任者」ではないという事実
多くの中小企業経営者は、税理士が財務全般を担ってくれると誤解しがちです。しかし、税理士の主な業務は税務申告や会計処理であり、資金調達や財務戦略の立案は専門外です。この誤解が、企業の成長を阻む要因となることがあります。
「過去」を見る税理士と、「未来」を設計する財務の役割の違い
税理士は過去の取引を記録し、正確な決算書を作成することが主な役割です。一方、財務担当者は将来の資金計画や投資戦略を立案し、企業の成長を支援します。このように、税理士と財務担当者では役割が大きく異なります。
「記帳代行」と「キャッシュフロー設計」は全く別のスキルセット
記帳代行は日々の取引を正確に記録する業務であり、キャッシュフロー設計は将来の資金の流れを予測し、最適な資金配分を計画する業務です。これらは全く異なるスキルセットを必要とし、混同すると経営判断を誤る可能性があります。
中小企業に共通する構造的な欠落|“経理はいる、でも財務がいない”
数字はあるのに「戦略」がない経営
多くの中小企業では、会計データは整備されていても、それを基にした戦略的な意思決定が行われていません。数字を活用した経営戦略の立案が欠如しているのです。
戦略がある経営では、数字をもとに「いつ・何に投資するか」が明確になっています。
「月末の通帳残高」を見て意思決定してしまう危うさ
通帳の残高だけを見て「お金がある」と判断してしまうと、実際にはすぐに支払う必要のあるお金や、数ヶ月後に入ってくる予定のお金を見落としてしまいます。
その結果、黒字なのに、資金ショートに陥る経営者がいるのです。 これは、キャッシュフローの見通しを持たずに経営していることが大きな要因であり、「今あるお金」だけでなく「これからの出入り」も含めた設計が欠かせないのです。
PL主導では「お金は回っているように見えて止まりかけている」
損益計算書(PL)だけで経営判断を行うと、資金の流れを正しく把握できず、実際にはキャッシュが先細りしている状況を見逃すことがあります。黒字でも資金が不足する「黒字倒産」を避けるには、BSやキャッシュフロー計算書を使って“これからのお金の動き”を捉える視点を持たねばなりません。しかし多くの企業では、この視点を担う「財務」担当者が社内に存在しない状態が続いており、経営者自身がそれに気づいていません。
BS経営に必要なのは「未来を設計する財務パートナー」
外部CFOという選択肢が企業に与える影響
中小企業では、人材や予算の制約から、専任のCFO(最高財務責任者)を社内に置くのが難しいケースがほとんどです。しかし、将来を見据えた財務設計や資金戦略を行うには、経理担当だけでは限界があります。そこで「社外CFOの活用」という選択肢が生まれたのです。
外部CFO(最高財務責任者)は、企業の財務戦略を立案・実行し、資金調達やキャッシュフロー管理を支援します。財務戦略はもちろんのこと、社外の専門家として客観的な視点を持ち込みつつ、社内にはない知見やネットワークを提供できる点が大きな価値となります。
財務の視点があることで変わる3つの経営判断
- 資金調達の最適化:適切なタイミングと方法で資金を調達し、成長投資に充てることができます。
- 投資判断の精度向上:将来の収益性やリスクを分析し、効果的な投資判断が可能になります。
- コスト管理の強化:無駄な支出を削減し、利益率の向上を図ることができます。
万燈の「法人財務サポート」が提供するCFO機能とは
万燈の「法人財務サポート」では、外部CFOとして企業の財務戦略の立案・実行を支援します。具体的には、資金調達のサポート、キャッシュフロー管理、財務分析、経営計画の策定など、企業の成長を財務面から全面的にバックアップします。
次回予告|BS経営とは何か?“お金が残る経営”の仕組みを解剖
次回は、「BS経営」の概念と、その実践方法について詳しく解説します。損益計算書(PL)だけでなく、貸借対照表(BS)を重視する経営手法が、どのようにして企業の財務体質を強化し、持続的な成長を実現するのかを探ります。
「税理士はいるけど、財務の話はしたことがない」
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