BS経営学(15)なぜ今、外部CFOが必要なのか?中小企業に求められる“財務思考”

「経理も税理士もいるのに、なぜかお金が残らない」──そんな悩みを抱える中小企業経営者は少なくありません。その原因は、数字を“処理”する視点はあっても、“設計”する視点がないことにあります。本記事では、中小企業にこそ必要な「財務」という視点と、経営者を支える「外部CFO」の役割について解説します。

目次

なぜ「経理がいるのに、お金が残らない」のか?

経理と財務は別物という事実

中小企業経営者の多くが見落としがちなのが、「経理」と「財務」は全く別物であるという事実です。経理は過去の取引を帳簿に記録し、正確に処理することが役割です。一方、財務は未来に向けて資金をどう確保・活用するかを設計する機能です。ここを混同したままでは、会社にお金が残らない原因に気づけません。

「過去を処理する経理」と「未来を設計する財務」

経理が担うのは過去の会計処理や納税の準備ですが、財務の本質は「これからの資金戦略」を描くことにあります。未来の売上・投資・資金繰りを見据えて、最適な借入や資産配分を設計する。これが財務の役割です。PL(損益計算書)では見えない「資金の動き」まで可視化する視点が欠かせません。

「税理士がいるから安心」の落とし穴

「うちは税理士に任せているから大丈夫」と考える方も多いですが、税理士は決算と納税を整える“税務の専門家”です。キャッシュフローの設計や資金調達戦略までは担当外です。この認識のズレが、財務空白のリスクを生んでいます。
税務上の正しさと、会社にお金が残るかどうかは全く別の問題です。

「財務不在の経営」が中小企業にもたらす限界

「売上はあるのにお金がない」原因は資金設計の欠如

経営が順調に見えても、支払いタイミングや税金支出を考慮せずに運営していると、手元に現金が残らないケースは非常に多いです。この状況は、資金がどこから入り、どこに出ていくのかが設計されていないことが原因です。BS・CF視点を欠いた結果です。

「勘と経験」で融資に挑むリスク

経営者自身の勘と経験だけで銀行に向き合うと、非効率な条件での融資や、断られるリスクが高まります。金融機関が見ているのは「数字の説得力」です。事業計画や資金繰り表、財務体質の見える化なくして、有利な融資を引き出すことは困難です。

「お金の使い方」ではなく「構造」が問われている

資金が残らない理由は、使い方の問題ではなく、“仕組み”の問題です。「お金が残る仕組みになっているか?」が今問われています。利益を出してもキャッシュが残らない構造を改善しない限り、どれだけ売上が増えても経営の不安は解消されません。

外部CFOが果たす4つの役割

銀行との関係性を設計し、有利な融資を引き出す

融資は“お願い”ではなく“設計”です。事業のフェーズや資金使途に応じて、決算書の見せ方、面談資料の整備、事業計画の設計など、金融機関が融資しやすい状況を事前に整えます。銀行との関係構築を戦略的に行うことで、より有利な条件での資金調達を可能にします。

「未来キャッシュフロー」に基づく資金戦略

売上や利益だけでなく、未来のキャッシュイン・キャッシュアウトを見据えて資金戦略を構築する。そこから逆算して事業計画を立てることで、成長投資のタイミングを逃さず、資金ショートのリスクを防ぎます。

「税務最適化」と「資金のブロックパズル設計」

節税に偏るのではなく、法人税・消費税・償却などを含めた全体最適化を図る「税務設計」を行います。借入、返済、入金、支払いのタイミングを整理し、「お金が足りなくならない順番と流れ」を組み立て、キャッシュフローにゆとりを持たせる。これがBS経営における資金設計の基本です。

「PL・BS・CF」を可視化し、社長の意思決定を支える

「利益が出ているのにお金がない」状態を防ぐには、損益計算書(PL)・貸借対照表(BS)・キャッシュフロー計算書(CF)の全体像を把握する必要があります。
外部CFOは、これらをわかりやすく翻訳し、経営者の戦略的意思決定を後押しする役割を担います。意思決定の根拠が明確になれば、経営は再現性と安定性を持ちます。

万燈が提供する外部CFOサービスの特徴

財務部長の代行機能と専門チームの支援

単なるアドバイスではなく、実務を伴う“外部財務部長”として、日々の経営に並走します。必要に応じて、補助金・融資・財務資料作成などの実行支援を行う専門チームも併走します。

成果報酬型で始めやすい価格設計

中小企業でも導入しやすいよう、成果に応じて報酬が発生するモデルを採用。初期費用が抑えられ、導入ハードルが低く、財務の強化に取り組みやすい設計です。

経営者の“右腕”として数字を翻訳し、戦略に落とし込む

外部CFOは、経営者が直感的に感じている課題を数字と言語に置き換え、それを戦略へと変換する存在です。「なんとなく不安」を「実際どこに手を打てばよいか」に変えることで、判断の精度とスピードが大きく変わります。

経営者に求められる“財務視点”とは?

PL経営から脱却し、未来にお金が残る構造をつくる

未来の資金繰りを設計し、利益ではなく“キャッシュ”を基軸に考える視点が必要です。PL経営からBS・CFを重視する構造へ転換することで、戦略的な投資と持続可能な成長が可能になります。

財務思考を持つことは「経営者としての成長戦略」

数字が読めるようになることではありません。
財務の言語で会社の未来を設計する力こそが、次のステージへ進む経営者に求められる力です。
“お金の専門家”に任せるのではなく、“経営の武器”として財務を活用する時代です。

次回予告|「売上を追う経営」から「お金を設計する経営」へ──役割転換の重要性とは?

次回は「PL中心の稼ぐ経営」から、「BS・CFを軸にした設計する経営」への転換について、社長の“役割”に焦点を当てて解説します。

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この記事を書いた人

株式会社万燈です。

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